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第5話 プロジェクト

last update publish date: 2025-08-23 08:28:52

早速、社長室へ出向いた専務。

私は秘書の林さんに、

「どうしたの? 何かあったの?」と聞かれた。

「はあ〜専務、無鉄砲過ぎます。何を考えているのかよく分からないです」と言うと、

「ふふ、そうなのね〜だから、社長は専務にしたのよ! そういうの社長が大好きなんだもの」

と笑っておられる。

振り回される私の身にもなってよ……

すると、社長が、

「五十嵐さんも入って」と私を社長室へ呼んだ。

──あ〜イヤな予感しかしない〜

「はい、失礼致します」と入室すると、

「五十嵐さん! 申し訳ないが、食堂の一般開放の件、専務を手伝ってやってくれないか?」と言われた。社長から直々に言われると、断わることなど出来ない。

「はい……」と言うしかなかった。

「修斗は、こう見えて、やる時はやる男だから」

とおっしゃった。

──違う意味で、やる時はやらかすだろうなとは思っていますが……

「はい……」

「一般開放と言っても、もちろんずっとじゃなくて良い! 休みの日、土曜日か日曜日だけでも良いから」と、なぜか私にお願いされている。

──実は、社長もそうしたかったのだろうか?

妙なことになりそうだ……

早速専務は、各部署に募集をかけて欲しいと言った。

しかし、仕事の都合もあるだろうから、各部署の部長さんにお願いして、数名ずつ出していただいた方が良いのでは? と提案した。

「分かった! そうする。じゃあ文書でよろしく!」と言われた。

──でしょうね……

「かしこまりました」

そういう書面作成は得意分野だから良い。

ささっと打ち出した。

そして、専務に見せると……

「うん、よし! これで頼むよ。あっ! あくまでも社長名と俺の名前を両方入れておいてね」と言う。

──なるほどね〜

社長名と専務名が有れば、部長達もスルーすることは出来ない。多忙な部署からでも必ず最低1人は、出してもらうことになる。

早急に各部署の部長へメールで送って欲しいと言われたので、定時までに……と慌てて送った。

〈明日、緊急会議を開く!〉と書かれているのだ。

「知〜らない」と、ポチッと送信した。

すると、早速問い合わせの電話が入った。

電力部門の部長だ。

「専務! どうされますか?」と聞くと、

「おお! 回して! 俺が直接全部説明するから。文句がある奴はかかって来い!」と言っている。

「専務が直接お話になるそうですが……」と言うと、

決まって、

「あ、なら明日の会議で聞きますので、大丈夫です」と電話は切られる。

やはり、··と言うだけで、尻込みをしてしまうのだろうか……

わざわざ専務は、私の所まで来て、

「あれ? 電話は? 切られた?」と言う。

「はい! 明日の会議でお尋ねになるようですよ」

と、答えると、

「ふ〜ん、なんだ! 皆んな根性がないな、俺に直接話させろっつうの!」と言っている。

──もはやコレは、根性論なのか? いや、皆さん専務に逆らえば、社長と繋がっているのは、お分かりだから言えないのでは? これは圧だろ?

「だいたいさあ、電力部門の部長、今日俺にいち早く気づいたよな? あの人もメンバーに呼ぼうかなあ」と、ニヤついている。

そもそも、50代の部長さんが29歳の専務に、話しづらいのは当然なのでは? と思った。

もちろん、実力社会だから年齢など関係なく、実績を買われてこちらに来られたのだとは思う。

しかし、この方は、まだ良く分からない方なので……

「次、かかって来たら直接俺が出ようかなあ〜」と笑っている。

「結構です! もう帰り支度をして、明日の会議の為にイメトレをしておいてください」と言うと、

「おお、良いこと言うね〜もう帰るわ!」と言っている。

──あっ、そっち? イメトレは?

「思ったことをそのまま話すのが、俺のスタンスだから大丈夫!」と言った。

「左様でございますか……では、お疲れ様でした」と言うと、

「五十嵐さんも、もう帰るの?」と聞く。

「はい、私も早く帰れる時に帰っておかなければ、どうやら忙しくなりそうなので」と言うと、

「それもそうだよな! じゃあ今日は早く帰ろう!」と笑っている。

──あなたのせいですけど?

「お車手配して有りますので、どうぞ玄関へ」と言うと、

「ありがとう! でも、明日から電車で通勤するから良いよ」と言う。

「いえ、そういうわけにはいきません。そんなことをさせたら私が叱られますので、明日もお車で来てお車で帰ってください」と言うと、

「ふ〜ん、そうなの? なら分かった! 五十嵐さんも一緒に乗ってく?」とまるでタクシーかのように言う。

「いえ、滅相もございません」と言うと、

「それもダメなのか……分かった」と、なぜか少し落ち込んでいる様子

──それが役員と一般人との違いなのよ、少しは理解して!

「じゃあ、また明日〜」

と言ってようやく専務室を出てくれた。

エレベーターまでは見送る。

「お疲れ様でした」とお辞儀をする。

「お疲れ〜」と手を挙げている。

「ハア〜なんとか1日目が終わった〜」とホッとする。

が、しかし……

専務は、またエレベーターの扉を開けて、

「ねえ、五十嵐さん! 今から作戦会議しない?」

と言った。

──はあ〜? 嫌に決まってんでしょうが……

私は、相当イヤな顔をしたのだろう

「あ、もう時間外だもんな、そうだよな……」と、

物凄く寂しそうな顔をした。

──もう〜〜なんなのよ! その顔! ったく!

妙に母性本能をくすぐる顔をするのだ。

私は、腕時計を見た。

17時45分

まだ、定時から15分しか経っていない。

──はあ、仕方がない。ちょっとだけ付き合うか……

「1時間だけですよ」と言うと、嬉しそうに、

「分かった!」と満面の笑みで答えた。

──なんなんだ? この人は……

魔性の女とは、よく言うが魔性の男なのかも……

あっさり、それに引っかかってる私が居るような気がする。

急いで荷物を片付けて、

「お待たせしました」と言うと、

「良し、行こう」と、にこやかに又エレベーターに乗り込んだ。

1階へ直通で降り、そのまま待っていただいていた役員専用車へ

「大変お待たせして申し訳ありません」と言うと、

「いえ、大丈夫でございます」と運転手さん。

そして、専務が

「こちらへ行っていただけますか?」とスマホを見せながらおっしゃると、

「かしこまりました」と、車を出してくださった。

そして、

運転手さんは、何もおっしゃっていないのに、

「今からね、秘書の五十嵐さんと、明日の会議の打ち合わせなんですよ」と言った。

──わざわざ言わなくても……

と思ったが、さすがにプライベートでは無い! と言うことを強調したかったのだろうか

「左様でございますか、残業お疲れ様です」と、おっしゃってくださった。

「ありがとうございます」

──まあ、残業代は出ないんですけどね〜半分強制連行みたいなものなので……

なのに、なぜかニコニコしている専務。

──俺が誤解を解いてやっただろ? と言う顔なのか?

──なんだその顔?

と又私は微妙な顔になってしまう……

そして、到着したのは……

──高級ホテル! え? どうして? いや、まさかね……

「ん? 初めて?」と聞いてくる専務。

「いえ……まあ……」

──その初めて? と言うのは、このホテルが初めて? と聞いたのか? それとも、いや、まさか……どっちの意味? いったい私は何を考えているのだ

「ん? ハハッ、どっち?」と笑っている。

「ココは初めてです」

と答えると、

「ふ〜ん、ココは……ねぇ〜」とイヤ〜な言い方をする。

──なんなんだ! つうか、打ち合わせするのに、なんでこんな高級ホテルへ来たんだ?

と思っていると、

「はい、行きますよ」と、背中を押された。

「!!」

──見る角度によっては、腰に手を回したように見えるではないか! やめてよ〜誰かに見られたら……そういう意味ではドキドキしてしまった。

そして、最上階の20階までエレベーターで上がると……

鉄板焼きのお店だ。

──もちろん、恋人同士ではないので、オシャレなレストランやバーでは、少し困るのだが、和食かな? と思っていたので、これはちょっと意外。

美味しそう! でも、ココで打ち合わせなど出来るのだろうか?

「苦手な物は?」と聞かれた。

「いえ、特にありません」と言うと、

「そうなんだ! 優秀だな」と言った。

そして、

「予約の櫻木です」と専務がおっしゃると、

「櫻木様、お待ち致しておりました」と席へと案内された。

さすが専務、半個室のようなお部屋へと案内されたのだ。

──なるほど、ここなら話せるか……

「腹減った〜とりあえず、食べよう!」と、メニューを広げて、

「何呑む? ビール?」と、聞かれた。

「え? まだ打ち合わせをしてませんけど?」と言うと、

「1杯ぐらい呑んでも大丈夫だよ」とおっしゃる。

「では、同じ物を」

結局、生ビールを注文してしまった。

「では、乾杯!」と……

──何に? と思ったが、面倒なので、

「乾杯! いただきます」と言った。

「ハア〜美味っ!」と。

──確かに美味しい〜! ようやく仕事終わりに呑むビールの美味しさが分かって来たところだ。

お料理は、専務にお任せで、魚介やお肉の鉄板焼きを順番に焼いて出してくださった。

「ありがとうございます」

「とりあえず、食べるぞ」と、言って食べながら話し始めた専務。

専務は、三橋商事に居る頃から、食堂は夜遅くまで働いている人の為に開けてくれていると、とても有難いのに! と思っていたようだ。

それに、土曜日に一般の方に開放することで、地域の方々に我が社のことを知ってもらったり、収入を得ることが出来ると言う。

土日とも開けてしまうと、食堂で働く方々への負担が増えてしまうし、『土曜日にしか入れない!』という限定を前面に押し出すことで、特別感があり来てくれる人が増えるのでは……と言う。

「その為には、話題作りが必要だと思います」と言うと、

「例えば?」と聞かれたので、

「有名シェフを呼んで、レシピを考えてもらって監修していただくとか……」

「おお、それは、良いアイデアだ!」

「ただ……それなりの費用が発生してしまうのでは?」と言うと、

「最初の投資は仕方ないだろう。軌道に乗れば行列が出来る程になって、利益も出て来るんじゃないか?」

──そんなに上手く行くのかなあ?

「今、そんなに上手く行く? って思ったんだろう?」

「!!」

──怖っ! 透視出来るの?

「まあ、成功している企業に聞いてみるよ」

と言った。

「ご存知なのですか?」

「いや、でもそういう話なら教えてくれるよ」

──どこから来る自信なんだ?

まあ、専務のやりたい事は何となく理解した。

あとは、メンバーを集めて頑張るしかないか……

「ところでさあ、五十嵐さんって彼氏居ないの?」

と言った。

「ゴホッゴホッゴホッ」

──なんなんだ? 突然! この流れで聞くことか? しかも、上司なのに、役員なのに!

私は、ムセながら驚いた顔で、ジッと見てしまった。

「いやさあ、彼氏が居るなら、彼の為に美味しい料理でも作って食べさせてあげてるのかなあ? と思って」と笑っている。

──なら、『料理はするのか?』でよくない?

「お料理は作ります!」とだけ言うと、

「そうか! と言うことは、··は居ないんだな?」と言った。

──··?!

私は彼ピとか好きピとかは、使わない主義なんだわ

すきぴ<かれぴっぴ<かれぴ だそうだけど……

無縁なんだわ! 好きな推しぐらいは居るが、それを好きぴと言っても良いのか?

てか、かれぴっぴって何なんだ!

彼氏候補? 友達以上恋人未満とか、なら友達で良くない? それともそれ以上の関係? え? チュウとかしちゃうわけ? なら彼氏じゃないの? 候補? 意味分かんない!

……この手の話は、どうも熱くなってしまう。

「専務、···とか使う人なんですか?」

と聞くと、

「ううん、今初めて使ってみた!」

と笑っている。

「!! ……そうなんですね……」

──良かった!

どうして、私ちょっとホッとしてんだ?

もし、専務が···とか·····とか言ってたら、引くわ〜

「五十嵐さんは、若いから使うのかと思って」と言う。

──5つしか違わないじゃない!

あっ、専務は今年30代に突入か……5つ·か……

「使いません」と言うと、

「そうか……」と微笑んでいる。

「料理するなら、五十嵐さんの料理も参考にしたいなと思って」と言う。

「!! いえいえ、私の料理なんて、ただ自分が生きて行く為だけに残り物で作って食べるような物なんで、人様に食べて貰えるような物ではございません」と言うと、

「またまた、謙遜して〜! なら1度俺に食べさせてよ」と言った。

──はあ〜?

「イヤです! 人様に披露するような献立ではございませんので」ともう一度言うと、

「じゃあ、最近作って食べたメニューは?」と聞く。

──私が何を食べてようと、構わないでよ

と思いながら……メインのステーキ肉を食べる。

思わず、

「美味しい!」と言っていた。

「うん美味いな! で?」と聞く。

「一昨日、肉じゃがを作ったので、昨日は余ってた肉じゃがをカレーにして食べました」と言うと、

「スゲー! マジで料理出来るんだな」と言った。

──え? そんなに褒めてもらうレベルでは……

勿体ないから、ただリメイクして食べただけよ

「何か食べないとお腹は空きますので」

「そりゃあそうだな」

「専務は、ご実家住みですか?」と聞くと、

「いや、一人暮らし」と言った。

「なら、ご飯は?」と聞くと、

「ほとんど外食で、たま〜に自分で作ることもある」と言った。

「お料理されるんですか?」と聞くと、

「まあ、···ってほどじゃ。腹減ったらチャーハン作ったり、スパゲッティを作ったり、簡単な物だな」と言った。

「チャーハンを作れるなら何でも作れるんじゃないですか?」と言うと、

「それは、無理だな! 和食は、特にハードルが高過ぎる」とおっしゃる。

「パターンを覚えれば簡単ですよ!」と言うと、

「やっぱり、料理好きなんだな」と言われた。

「好きと言うか……作らなきゃ! って感じですね」

「それは、やっぱり外食代が勿体ないとか?」

「はい、まあそうですね」

「だろう? だから安く美味い物が食堂で食べられたら最高だろう?」と言われた。

確かにそうだけど……

「なら、夜も営業するんですか?」

「出来れば、そう願いたいな」

「でしたら、やっぱり、人材確保が大変そうですね」

「まあ、募集すればシェフの監修となれば働きたい人も居るんじゃないのかなあ?」

──確かに!

私もシェフのお料理をこっそり盗み見したいと思った。

そして、専務は、

「誰が良いかなあ? カリスマシェフ!」と、スマホを開いて探そうとしている。

すると、

「あっ!」と、突然大きな声を出して、

「居る居る!」と言った。

──もしかして、近くの行きつけのお店のシェフとか?

美味しいかもしれないけれど、それだけじゃあ話題にはなりませんよ

と思いながら一応、

「どなたですか?」と聞いてみた。

すると……

魚崎 涼うおざき りょうって知ってるか?」と聞かれた。

「!! もちろんです。フレンチのスペシャリストですよね?」と言うと、

「そう!」

──まさか……知り合い? んなわけないか……

「俺さあ、シドニーにも行ってたって言っただろ?」

「はい」

「その時、彼がフレンチのお店を出していて、とにかく美味くてさあ、通い詰めたんだ! だから、··!」と言った。

──いやいや、いくら通い詰めても、あちらは専務の存在を知らないでしょう? ··とは大きく出たな!

と思っていると……

「『そんなのあちらは知らないだろうに……』って顔だな」と笑っている。

──ヤバッ! また顔から読まれた

と、顔を覆う。

「マジで、友達になったんだ! ほら連絡先」と、私に電話番号を見せている。

──え〜〜? 嘘でしょう? でも、連絡先はある。本当に本人なのか?

「なら、連絡してみてくださいよ」と言うと、

「良いけど、掛けたらもう後戻りは出来ないぞ」

と言う。

そりゃあそうだ!

「でも、このお話が通ったら、お願いするんですよね? なら確認を取っておいた方が良くないですか? それに、カリスマシェフが居る方が話もスムーズに進むかと……決まってから急に電話を掛けて断られたら……また1から探すとこからになりますよね?」

「まあ、そうだな。とりあえず今何処に居るのかは把握しておきたいな」

「シドニーじゃないんですか?」

「分からない」と言う。

専務は、とりあえず電話を掛けてみると言う。

チラッと腕時計を見て、

「もしシドニーなら、あっちは今19時半か……なら大丈夫かな」と言っている。

日本とシドニーの時差は1時間。

今18時半だから、19時半だということだ。

プップップップッ、プル〜

──本当にスマホで掛けている!

「Hey,Ryo! I'm Shuto! Long time no see!」

『Wow,Shuto! It's been a while! How have you been!』

「I'm well,and you?」

『I'm fine! So good to hear your voice!』

──元気? 久しぶり! 声が聞けて嬉しい! と言ってるんだな

そして……

「今どこに居るの?」と突然日本語で聞いているようだ。

──そうだよ、日本人同士なんだから、日本語で良いじゃん!

すると、

「シドニー! でも、もうすぐ日本に行くよ」とおっしゃっている。

「そうなの?!」と……

これは、お会いする絶好のチャンス!

専務は事情を話し、その際には、是非とも涼の力を貸して欲しい! と言っている。

すると、

「修斗の役に立てるなら」とおっしゃってくださった。

思わず、専務と2人でハイタッチしてしまった……

「「イェーイ!」」

──あっ……

思わず自分の掌を見てしまった。イェーイじゃないし……

でも、良かった!

私まで魚崎涼さんにお会いしたくなってしまっている。

とりあえず、「また掛ける!」と電話を切った専務。

「良かった〜」と言っている。

「良かったですね! 本当だったんですね」

と言うと、

「な! 友達だろ?」と、得意気に言われた。

「そうみたいですね。コレが実現したら凄いですね」と言うと、

「うん! 実現させる! 頑張ろう!」と、私を見ている。

「あ、はい!」

思わず返事してしまった。

専務は、ニコニコしている。

「じゃあ、そういうことで明日の会議に備えて今日は、帰るか」と……

「はい!」

──良かった、ダラダラ呑む人じゃなくて……

そして、専務がお支払いしてくださった。

「ご馳走様でした」

「うん、コレは仕事の一環だからな」と……

そして、帰ろうとすると、

「タクシー呼んだから乗って行って!」と言う。

「え、大丈夫です」と言うも、

「遠慮しなくても良い!」と、結局乗せられた。

「家どこ?」と、

運転手さんに、最寄り駅を伝えた。

「案外近くなんだな」と言った。

「そうなんですか?」と聞くと、

「うん」となぜかニコニコしている。

──なんだ? その笑顔は……

最寄り駅まで送ってもらった。

「ありがとうございました」と言うと、

「こちらこそ、付き合わせて悪かったな」

「いえ、お疲れ様でした」

「お疲れ! じゃあ、また明日」と、帰って行かれた。

──翌日

朝から緊急会議が開かれた。

各部の部長さんが続々と会議室へ

当然、社長も役員も皆さんお揃いだ。

なので、それぞれの役員秘書も皆、お茶や資料のセッティングで慌ただしい。

会議が始まると他の秘書さんは、会議室から出られた。が、私と社長秘書の林さんだけは、会議室に残された。

──なんだか凄い事になって来たな〜

もう、こうなったら林さんにも手伝ってもらおう

各部の部長たちは、

──怪訝な顔をしている

そして始まると……

専務の話を聞いて、確かに! と頷いている部長も居る。

おまけに社長の後押しも有り、利益に繋がると分かると、皆賛同している。

ただし、皆んな忙しいのは事実!

なので、各部署からは、1〜2名、最低1人はプロジェクトメンバーを出して欲しい! ということで、話がまとまった。

恐らく、専務にキャッキャッ言っていた女性社員たちは、数多く集まるだろう。専務見たさに……

それに……電力部の部長にも1番に声を掛けている専務。

どういうメンバーが集まるのか、楽しみだ。

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    ──週末の11月2日(土) フットサル場に着いて来た。 屋根はあるが壁は開閉式の半屋内と言うのか、Fリーグの選手が使うような場所だ。 「うわ〜綺麗なコートだね〜」 「うん」 「修斗〜!」と言う男性の声が聞こえた。 高校の同級生のようだ。 「おお〜!」と手を挙げている。 近づいて来て、 「久しぶりだな〜」 「おお〜」と手を上に挙げハイタッチしてからクロスして握り合っている。 「ん? 彼女?」と聞かれた。 私は、会釈をして、「初めまして」と挨拶した。 「初めまして」 「妻の寧音!」と修斗が言った。 「え? お前結婚したのか?」 「うん」 「おめでとう〜! いつ?」 「10月20日」 「え? 今年の?」 「うん」 「え? この前じゃん!」 「うん」 「ヒュー新婚さん!」と笑っておられる。 「お前〜顔が下品!」と言う修斗。 そして、私に、 「山岡です。おめでとうございます」とおっしゃったので、 「ありがとうございます、寧音と申します。主人がいつもお世話になっております」と言うと、 「か、可愛い〜」と言われた。 ──初めて主人と言った キャー照れる〜 そして、修斗に、 「おいおい、こんな可愛い子と、どこで知り合ったんだよ?」と聞かれ、 「俺の秘書」と修斗が言う。 すると、高校の頃から修斗のお父様が会社の社長さんだとご存知の山岡さんに、お父様の「後を継いだのか?」と聞かれ、自分は伯父さんの会社へ移り、今は専務となったことを伝えた。 「うわ〜流石! サラブレッドは違うな、羨ましい!」と言われていたが、修斗は、兄が居るから親父の会社を離れ、伯父さんに頼まれて、会社を変わったことを初めて話した。 恐らく、この山岡さんは、修斗の親友なのだろうと思った。普段、そういう話を全くして来なかった修斗。でも、この山岡さんには何でも話せているようで、そんな人が修斗にも居たんだと思って少しホッとした。 「皆んなには?」 「ああ、言っても構わないよ」と言った。 事実だものね。 そして、続々と同級生たちが集まって来られたようだ。 彼女さんだという方々も来られていたので、一緒に椅子に座って観戦することになった。 見た目は、ギャルみたいな格好の人も居て、少し引いてしまったが、案外ご挨拶は、きちん

  • 恋に恋するって、こういうことですか?   第28話 やりたかったこと

    ────翌週の土曜日 「修斗〜」 「ん? どうした?」 「あの白い車、乗りたい!」と言うと、 「おお〜任せとけ!」と嬉しそうにニコニコしている。 私は、初めてスポーツカーに乗ることになった。 「今日は、良い天気だから、幌を開けて走ろう!」と言っている。 私は、当然オープンカーなど乗ったことがない。 「屋根がないのよね?」 「うん」 「暑い? 寒い?」 「アハッ、10月だし気持ちいいと思うんだけどな。イヤだったら閉めても良いよ」と言う。 「うん、途中からね。何か……色々飛んで行かないの?」と私は、変な質問をしていた。 「ハハッ、そうだな、荷物は前か後ろのトランクに入れて」と言う。 「あっ、トランクはあるんだ」と言うと、 「うん、一応あるよ。大きな物は入らないけど、バッグや買い物した物くらいは入るよ」と言うので、早速身支度をして、車まで行って、まずトランクを見せてもらった。 「うん、見た目は、カッコイイよね〜」と外側を見ながら言うと、 「うん!」と喜んでいる。 そして、後ろに回りトランクを見せてもらう。 やはり後ろのトランクは、浅いのであまり入らなそう。 しかも、熱くなるので、食料品などは前の方が良いと言うので、今度は前を見せてもらうと、思っていたより深くて広かった。 「あれ? 思ってたより広い! コレならいつも買い物する分は入るね」 「うん」と喜んでいる。 ただし、一度入れると車を止めるまで出せないので、必要な物は、足元にでも置いておくと良いと言うが、 「う〜ん、やっぱりそういうのが不便なのよね〜」 「ハハ……」と、あまりにも私がハッキリ言うものだから、苦笑している。 「じゃあ、乗って!」と乗り込む。 私は、さほど大きなカラダではないので、スッと乗り込んだが、やはり荷物置き場が全くないのは、ちょっと……と思ってしまった。 そして…… エンジンをかける修斗。 ブーーン! ブロロロロォーン! と爆音が響いた。 「ウワッ!」 思わず耳を塞いで、 「煩〜い!」と言うと、 「ハハッ」と笑っている。 更に、 「迷惑よ! 早く出して!」と大声で言っていた。 「ハハハハッ、行くぞ!」と言いながら、走り出した。 走り出すと、快適で音は気にならなくなった。 「何コレ? 最初のエンジン音は煩いね」と言うと

  • 恋に恋するって、こういうことですか?   第27話 新婚初夜は…

    しばらく起きそうもないので、そのままリビングで寝かせた。 疲れたので、私もお風呂に入って休むことに…… ────翌朝 「あ────!」 大きな声で起こされる。 「ん? な〜に〜?」 「寧音! ごめ〜ん、俺、寝ちゃった」と、朝から騒いでいる修斗。 そのままリビングのソファーで寝てたので、 布団を掛けて寝かせたのだ。 「う〜ん……」 相変わらず私は、朝は弱い。 目を開けても又自然と瞼を閉じてしまう。 「ごめんね、だから、今からでも……」と言っているようだ。 「う〜ん、もうちょっと……」 途中まで言って又眠っていたようだ。 「寧音〜〜」と、私を抱きしめている。 「う〜〜ん」と、私も修斗さんを抱きしめ…… 結局動けなくなっている。 「寧音〜?」 私を呼ぶ声が遠ざかっていく…… 「スースー」 どのくらい眠っていたのかは、分からないが、 目覚めたのは、やっぱり修斗のキスだった。 「う〜ん……」 「起きた?」と聞いている。 「うん、おはよう〜」 「おはよう〜」と何やらニコニコしている。 少しずつ、頭が冴えて来て、昨日のことが蘇ってきた。 「2日酔いは?」と聞くと、 「よく寝たから大丈夫」と言う。 「そう〜良かった」 「うん、ありがとう」とニコニコしている。 「ん? 何?」と聞くと、 朝からお兄様から連絡があり、修斗がすぐに酔ってダウンしたので、私がお父様とお兄様の相手をして一緒にお酒を呑んでいたのだと…… そして、お父様もお兄様もダウンし、 〈寧音ちゃん、お酒強え〜な、楽しかったよ。又呑もうって言っておいて〉とお兄様からメッセージが届いたようだ。 「あっ! そうだった。私やらかした?」と聞くと、 「ううん、助かったよ! 俺の代わりにありがとうな」と言われた。 「なら、良かった」と言いながら、もう一度修斗を抱きしめると、何やら自分のカラダがスースーすることに気づいた。 「ん?」と自分の格好を見ると、見事にパジャマははだけて下は、パンティしか履いていない。 「え────っ!」 と修斗の方を見ると、 「だって全然起きないから、先に始めてた」と笑っている。 「はあ〜? 先に始めてた? 居酒屋じゃないんだから!」と言うと、 「クックックッ、寧音上手いこと言うね」と笑っている。 「笑い事じゃないわよ

  • 恋に恋するって、こういうことですか?   第4話 社内視察

    そして、2人で各部署を回った。 「こちらが人事部と……」と言うと、 「あ〜そういう主軸は、良いから……」と言われた。 専務が来られたと言うことで、人事部の皆さんが一斉にこちらを見て、立礼されているのに、スルーした。 「申し訳ありません。失礼致します」とお辞儀した。 そして、電力ソリューション部門へ 「そうそう、こういうのだよ」と、見て回る。 皆さんお忙しそうなので、それぞれに行動されている。 部長だけは、お気づきになり、ご挨拶に来られた。 「専務! どうされましたか?」 「いや、各部署を見て回りたくて……良いですね! 活気があって」と、喜んでおられるご様子。 「私がご

  • 恋に恋するって、こういうことですか?   第3話 テスト?

    「え〜っと、それは、答えるべきなのでしょうか?」と聞くと、 「あ、ごめん。もしかして、こういうの慣れてなかった?」と聞かれた。 「?……」 もちろん私は、答える必要がないので、何も答えない。 「もしかして、寧音ちゃんって処女なの? あっぶね〜! いや、俺まだ指1本触れてないからな」と急に両手を挙げて離れて焦り出した。 ──何も言ってないわ! だが処女はアウトだ! 「今のはセクハラに当たりますので!」 と言うと、 「あっ、ごめん! もう言わないから、許して! ね?」 と機嫌を取る。 ──そうやって、何人もの女を泣かして来たのだろうか? 確かに

  • 恋に恋するって、こういうことですか?   第2話 外出

    昼食後、専務は社長と挨拶回りに向かわれた。 私は、お留守番で良いようだ。 ──やった〜! と内心喜んでいた。 社長とご一緒なら時間がかかるだろうし、帰社されるまでは平穏な時間を過ごせる。 秘書室では、専務の話題で持ちきりだ。 当然私にだけは、専務の個人情報が渡された。 知らない他の人は、好き勝手に話しているようだ。 「寧音ちゃん、ホントにラッキーだよね」と嫌味なのか本心なのか? 分かりづらい言葉をかけられる。 「ラッキーなんですかね?」と言うと、 「何言ってるのよ! ラッキー以外の何物でも無いわよ、モノにするのよ!」 とおっしゃるのは、常務の秘書の原

  • 恋に恋するって、こういうことですか?   第1話 私のお相手は…

    「寧音 !、結婚しよう!」 「は……(い)」 ピピピピッ、ピピピピッ 「ハア〜〜〜〜、また夢か……せめて最後まで返事させてよ! いつも良い所で……ったく」 〈おはー! 寧音〜! 起きた〜?〉 〈おはよ〜! 起きた〜ありがとう〜〉 〈今日もファイト!〉 〈うん、ファイト!〉 いつも朝の弱い私が起きたかと、確認してくれるのは、高校生の頃からの親友心菜だ。 お互い違う職場で働いているのに、寝坊しては大変だからと、お母さんのように心配してくれる。 〈また、プロポーズされた夢みたよ〉 〈良いじゃん! そろそろ彼氏でも出来るのかな? 楽しみ

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